東京アートミュージアム誕生20年 コレクション展

終了したイベントの記録です

東京アートミュージアム誕生20年 コレクション展

○出展作家:
池田龍雄、海老塚耕一、大沢昌助、織田廣喜、掛井五郎、鹿江恭夫、木下晋、草間彌生、黒田アキ、菅木志雄、辰野登恵子、難波田龍起、西常雄、舟越桂、若林奮

 

東京アートミュージアム開設20周年 プラザギャラリー開設35周年記念
コレクション展 新しい街で生まれた出会い

東京アートミュージアムをふくめた、このエリア一体の再開発は1992年にはじまります。東京都による都市計画道路の事業が認可されたことで、南北に細長い土地を斜めに縦断するような恰好で通ることになり、それ以外の土地はきわめて使いにくいかたちで残されることになったのです。そのとき、そうした状況を逆手に取り、これまでにないような街づくりが構想されました。道路に沿った両側を統一的なデザインでつくり直すもので、その構想は建築家・安藤忠雄(1941年生まれ)の手によって実現されることになります。東京アートミュージアムの独特の展示空間はこのようにして生まれたのです。

忘れてはならないのは、この展示室が街づくり全体のなかで意味をもっていることです。隣接する劇場や保育園、集合住宅、テナントとして入る飲食店など、このミュージアムはそれらすべてがつながっているのです。街が生まれる――これは2007年に東京アートミュージアムで開催された安藤忠雄展の展覧会タイトルですが、文字どおり、これらのアート作品はこの新しい街で生まれた出会いによってつながっているのです。

このコレクションは、作品だけを見るならば、ジャンルもスタイルもバラバラなものの寄せ集めのように思えるかもしれませんし、実際のところ、そうなのでしょう。唯一の共通点は「この街で出会った」ことに求められます。出会いとは、人間が予測できる範囲をこえる、縁としか呼びようのない出来事であり、その積み重ねがこの場所の歴史をつくってきたのです。今回の展覧会では、そうした機縁によって集まったアート作品の展示を通じて、そうした歴史の一端をご紹介します。

藤井 匡 / 美術評論家、東京造形大学教授

 

会期 2024年7月13日(土)- 9月29日(日)
開館時間 11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 木・金・土・日曜日
休館日 月・火・水曜日、夏季休館 8月15(木)・16日(金)
入場料 一般 500円 / 大高生 400円 / 小中学生 300円
会場 東京アートミュージアム ➡ Map
主催 東京アートミュージアム
企画 一般財団法人プラザ財団

 

池田龍雄
「広場・逃亡」
1992

撮影:松岡尚武
織田廣喜
「田園の裸婦」
1997
草間彌生
「考えるかぼちゃ」
1993
舟越桂
「冬の名前」
1993
若林奮
「DISCONTINUOUS TWO HOURS-6」
1991

 

会場風景(2024年7月11日)

 


没後10年 織田廣喜展 パリ-仙川

終了したイベントの記録です

没後10年 織田廣喜展 パリ-仙川

パリを思わせる風景や女性たちを描いて人気を博した織田廣喜(1914-2012)は、1957年以降、世田谷区上祖師谷を制作と生活の拠点にしていました。徒歩圏内にある調布市仙川は画家のお気に入りの散歩コースで、最晩年まで、東京アートミュージアム近辺にも頻繁に訪れていました。
織田は、1960年以降、パリに何度も向かい、数多くのスケッチを描いています。しかし、スケッチにしろ、それらに基づいた油彩画にしろ、パリの情景をそのまま再現したものではありません。画家の内面のフィルターを通して変換された、織田独自の世界を表わしたものとなっています。そこに登場するのは、現実には、どこにも存在しない場所なのです。そうした彼の絵画はフランスと日本の〈間〉で描かれたものといえるように思われます。
甘美で華やかな絵画世界とは異なり、織田自身は質素な生活を淡々と営みながら、数多くの作品を生み出していきました。破天荒な芸術家伝説などとは無縁の生き方ですが、逆に、そうした日常の繰り返しこそが、画家としての空想を自由にはばたかせるために不可欠だったのかもしれません。彼にとっての仙川はそうした日常に属する場所です。「パリ-仙川」とは、地図上のふたつの場所を指すだけでなく、絵画世界を構築するために織田の精神が往還したふたつの場所も示す言葉なのです。
東京アートミュージアムでは、織田の展覧会として、2012年の追悼展、2014年の生誕百年記念展、2017年の没後5年展を開催してきました。没後10年の節目で行う今回の展覧会では、二科展に出品された300号の大作をはじめとする油彩画のほか、未発表のスケッチ類や資料を展示し、織田廣喜の画業を改めて考えたいと思います。

藤井匡/美術評論家、東京造形大学教授

会期 2022年1月8日(土)- 6月26日(日)
開館時間 11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 木・金・土・日曜日
休館日 月・火・水曜日
入場料 一般 500円 / 大高生 400円 / 小中学生 300円
会場 東京アートミュージアム ➡ Map
主催 東京アートミュージアム
企画 一般財団法人プラザ財団(藤井匡)

 

 
〈エッフェルトウ〉油彩 ドローイング