版画の〈うつす〉

終了したイベントの記録です

版画の〈うつす〉

うつす。漢字では「写す」「映す」「移す」などと表記して、各々で意味が異なります。「写す」は「文書・絵などを元のとおりに書き取る」、「映す」は「反射や投影などによって物の形や姿を他の物の表面に現す」、「移す」は「位置や地位を変える」といった意味で用いられます。しかし、言葉を使おうとすると、どの漢字をあてるべきか迷うことが多々あります。実際には、これらは明確に切り分けられないところがあるのです。それは〈うつすもの〉と〈うつされるもの〉の関係が、微妙なニュアンスの違いをもちながら、多様に絡まりあっているからだと思われます。
美術作品の場合、抽象的であれ具象的であれ、観念的であれ実在的であれ、定着されたあるイメージ(像)が視覚的に伝えられることになります。このイメージを生み出し、定着させる方法はアーティストごとにさまざまであり、それが美術表現の豊かな広がりをつくりだします。〈うつす〉の多様性はこの豊かさに導かれるものと言えます。特に版画技法を用いる表現では、〈うつす〉の多様性はさらなる展開を見せることになります。技法のもたらす制約や版元(プリンター)との関係が表されるイメージにフィードバックされるからです。
本展に出品される五人のアーティストは、いずれも、絵画や彫刻などを手がけてきた作家であり、版画を中心に制作を行ってきたわけではありません。だからこそ、ここでの〈うつす〉の意味はより重層的になります。1枚の版画のなかに見られる〈うつす〉の多様な意味を考えることから、「版画を見ること」と「版画を通して(何かを)見ること」の面白さを発見していただければと思います。

藤井匡/美術評論家、東京造形大学教授

会期 2022年7月9日(土)- 12月25日(日)
開館時間 11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 木・金・土・日曜日
休館日 月・火・水曜日
夏季休館:8月12日(土)- 14日(日)
入場料 一般 500円 / 大高生 400円 / 小中学生 300円
会場 東京アートミュージアム ➡ Map
主催 東京アートミュージアム
企画 一般財団法人プラザ財団

 

 
堀浩哉 舟越桂
 
彦坂尚嘉 若林奮
 
辰野登恵子

 


版画の妙味

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版画の妙味

海老塚 耕一(Koichi Ebizuka)
草間 彌生(Yayoi Kusama)
クラウス・キリシュ(Klaus Killisch)
坂口 登(Susumu Sakaguti)
辰野 登恵子(Toeko Tatsuno)
堀 浩哉(Kosai Hori)
ヤン・フォス(Jan Voss)
ロベルト・マッタ(Roberto Matta)
若林 奮(Isamu Wakabayashi)

 

版画の面白いところはその技法もしくは版を何回重ねるか、作家それぞれの創意と工夫で作品が完成する。一点一点その技法と制作年代を照らし合わせて鑑賞すると思い掛けない作家の内面に辿り着くことが出来る。そして黒衣のように見えないが刷り師の苦労も垣間見えるのである。

本展では、世界中で人気を誇る作家の作品、海外作家の作品、40版も重ねて作られた作品など9名の作家による版画作品37点を展示します。

会期 2019年7月6日(土)- 9月29日(日)
開館時間 11時~18時30分(入館18時まで)
開館日 木・金・土・日曜日
休館日 月・火・水曜日 および 夏期休館 8月15日(木)、16日(金)
入場料 一般 500円 / 大高生 400円 / 小中学生 300円
会場 東京アートミュージアム ➡ Map
主催 東京アートミュージアム
企画 一般財団法人プラザ財団

 

海老塚 耕一
(Koichi Ebizuka)
草間 彌生
(Yayoi Kusama)
クラウス・キリシュ
(Klaus Killisch)
坂口 登
(Susumu Sakaguti)
辰野 登恵子
(Toeko Tatsuno)
堀 浩哉
(Kosai Hori)
ヤン・フォス
(Jan Voss)
ロベルト・マッタ
(Roberto Matta)
若林 奮
(Isamu Wakabayashi)